翔ぶが如く

翔ぶが如く〈1〉 (文春文庫)

翔ぶが如く〈1〉 (文春文庫)


忙しいはずの社会人なのに、よりのよって10冊もある長編に手を出してしまった…。
明治初期、征韓論から西南戦争にいたる時代を描いた小説。


西南戦争に突入する8巻くらいまでの長さや、各人物の感情移入のしづらさもあって、掴みどころのなさも感じるけれど、もちろん面白くないわけではない。
思えば、この掴みどころのなさって、学校で日本史学んだ時も明治に突入したところってそうだった。
尊皇攘夷を謳った革命が起こって、新しい時代に入って急激に欧化政策?
攘夷って??


そんな学校で感じたクエスチョンマークを、結局当時も感じてたのか、という印象。
その混乱の象徴として描かれる西郷隆盛という人物像は、とても魅力的でありとても愚かに見える。
司馬遼太郎の主張だと、この明治初頭の10年でその後の日本の形が出来上がっていたということだったけど、偶然なのか必然なのか・・・面白い。


印象的だったのが、出身による気質の違い。
当時の薩摩人、長州人、肥後人…といった括りで、こうも性格に大きな影響があるのかと。
子を持つ親としては、人格形成における教育/環境の力に少し恐ろしさまで感じました。